2010/02/22

キャリパー締結ボルトのステンレス化

先日交換した、ブレンボ4POTキャリパーの締結ボルト。

ステンレス製のテーパーボルトは、ブレンボ純正採用
されているクロモリ鋼のボルトより強度が弱い。

そのため、力が掛かるキャリパーの締結ボルトに向かず
危険だからやめた方が良いのでは・・・とのコメントも
頂きました。

せっかくなので、勉強も兼ねて、ステンレス製ボルトの
強度を踏まえた計算をしてみます。

参考サイト:こちらのブログ記事
※装着しているパーツなどの細部条件が異なるので再計算

【装着パーツ】
マスター :brembo 19RCS ※19φ×18/20
キャリパー:brembo 対向4POT キャスティング×2(異径ピストン)

【パーツの基礎情報】
マスターピストン径:19.0[mm]
マスターRCS設定:20.0[mm] ※支点〜作用点の距離
マスター握り位置:130.0[mm] ※支点〜力点の距離。
キャリパーピストン径(A):34.0[mm] ※異径ピストンの片方
キャリパーピストン径(B):30.0[mm] ※異径ピストンの片方

【マスターピストンに加わる力の想定】
まず、レバー比を求めます。
てこの原理で、力点〜支点間の距離と支点〜作用点の距離の
比率なので、130.0/20.0=6.5。

ちなみにレバーの長さ自体は20mmほどありますが、実際には
人差し指と中指が掛かるあたりで握るので、130.0mmとしました。

これに、現実的にブレーキレバーを握れる最大握力として
30[kgf]を掛けると、6.5×30[kgf]=195[kgf]
これが、最大限握った時にマスターピストンが押される力。


【油圧レシオを算出】
マスターのピストン面積は、(19.0/2)^2*π=283.4[mm2]

キャリパーは、34.0[mm]と30.0[mm]の異径ピストンなので
有効ピストン面積は、
ピストン(A):(34.0/2)^2*π=907.5[mm2]
ピストン(B):(30.0/2)^2*π=706.5[mm2]
合計:(907.5+706.5)*2=3227.9[mm2] ※ダブルなので2倍

従って、油圧レシオは3227.9/283.4=11.38倍となります。


【キャリパーに加わる力】
キャリパーに加わる力は、キャリパーを開こうとする力と
等しいです。片方のキャリパーを開こうとする力は、
195[kgf]*11.38/2=1110.52[kgf]となります。


【ボルトの許容引張り力】
この計算は専門家ではないのでサッパリわかりませんが、
使用しているステンレスの規格がほぼ同じと仮定して
参考サイトの計算を引用させて頂きます。

許容引張り力をQ、許容引張り応力をσ、ネジ径をd、ネジピッチをpとすると、
Q=σ×π/4×(d-0.9382p)^2
で求められます。

ここで、d=8mm、p=1.25mmですので、許容引張り力は

強度区分10.9のボルトの場合  Q=3359[kgf]
A2-70のステンボルトの場合 Q=1680[kgf]

締結ボルトは4本なので、実際には4倍して
Q=1680[kgf]*4=6720[kgf]
が、ステンレス締結ボルトの許容引張り力となります。


【結論と安全率】
キャリパーを開こうとする力:1110.52[kgf]
ボルトの許容引張り力:6720[kgf]
安全率:6720/1110.52=6.05倍

念のため、更に条件を厳しくして握力50.0[kgf]、
レバー握り位置を最も先端の20.0[mm]で試算しましたが
安全率は2.36倍となりました。

従って、この構成ではボルトの破断等の致命的な
問題は発生しなそうです。

但し、多少なりともボルトが伸びることでピストンに
加わる力が逃げていることは事実でしょうから、
カッチリしたフィーリングを追求したい場合は
クロモリ鋼なりチタンのボルトで締結することが
理想的でしょう。
※どの位力を入れたら伸び始めるのかは、不明・・・

★重要★
素人の計算なので間違っているかもしれません。
この記事を参考にして発生したどんなトラブルも
責任は負えませんので、ご注意下さい。

また、考え方の間違い等、突っ込み大歓迎です!!!

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